最初に4号館に入った。入口に「歴史を記憶しないものは、再び同じ味を味わわざるをえない。」というアメリカの哲学者ジョージ・サンタヤナの言葉が掲げられていて、ここへ来たことは良かったのだと、ちょっと元気が出た。ビデオカメラを構えていると、ガイドに建物内の撮影はノーと言われて、慌ててカメラをしまった。残念だった。

 4号館には収容されたユダヤ人たちの出身地を示す大きなヨーロッパの地図が掲げられている。あらゆる所から莫大な数の人たちが集められたのだ。そしてユダヤ人たちが連行されたときの写真も展示されている。そんなに深刻な表情でないのが不思議だが、すぐに死が待っているとは思いもしなかったのだろう。その前に大きな瓶があり、中には人骨の粉が入っていた。虐殺の証拠になる骨を残さないために焼却した後、骨粉にして川や原野にも捨てたという。そのほか4号館と5号館には、囚人から切り取ったおびただしい量の毛髪と、それらの毛髪で織った布地の展示があったり、名前を大きく書いたカバンや、履いてきた靴、クシや義足まで、ものすごい量が残されていて、展示されていた。館外には当時の様子を伝える写真や、デッサンも掲示してあって、その残虐さが身にしみてくる。  


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毛髪で織られた布地(拡大)
続いて5号館に入る(拡大)
カバンには名前などを書かせ、戻ってくるように思わせた(拡大)
残されたおびただしい量の靴(拡大)

まず4号館に入る(拡大)

囚人たちから切り取った毛髪(拡
大)