ホテル・イエガーホフの部屋は少し狭いけれど5日間スキーをするには十分だ。バッグを開き、荷物の整理をして街に出かけた。


ホテルから見たツェルマットの街並み

 まず最初はウインパーのマッターホルン初登頂に関する展示のある山岳博物館へ行った。ツェルマットに入るにはまずウインパーに敬意を表するべきだろうと考えたからである。出発前に「アルプス登攀記」を読み直したのも、同じ考えからである。

 


ホテル・モンテローザの壁面にあるウインパーのレリーフ


 小さな博物館の中には、剥製のカモシカやマーモットやイーグルが飾ってあり、壁にはウインパーやその仲間の写 真が所狭しと掲げられ、また、登攀の時の様子を描いた絵や、当時の登攀装備、ウインパーの使用したザイルやピッケルが展示してあった。ウインパーのマッターホルン初登頂と、その直後に4人の仲間が滑落死した悲劇は、このツェルマットの象徴とも言える。

 


ウインパー(前列右)と仲間達の合成写真

 中学生だったときからあこがれていたツェルマットとマッターホルンの麓に来られた幸せを噛みしめながら5日間を楽しみたい。
 夕食はクリスマスイブの特製ディナーだった。そのボリュームのすごさに圧倒され、全部は食べられなかった。欧米の人たちがぺろりと平らげているのを見て、文化の違い以上の何かを感じた。スキーでは負けたくない。

 


12月25日(月) ゴルナグラートエリア・ スネガエリアでガイド付きスキー

 昨夜あまりにも早く寝てしまったので、夜中に目が覚めて眠れなくなり、仕方なく起き出して、机に向かって昨日までの日記を書いた。そして再び眠って、朝6時に起きて入浴した。朝食も早めにレストランに行き、バイキング式の朝食を軽めにとり、準備をして8時過ぎにホテルを出た。
 ホテルの玄関先から見上げると、夢にまで描いていたマッターホルンが肩のあたりまで姿を現していて歓声をあげた。まさに空に向かってそそり立つ岩の鏃(やじり)だ。早速その姿をビデオにおさめた。



スキー初日の朝姿を見せてくれたマッターホルン

 そして5分ほど歩いてバス乗り場から巡回バスで、ゴルナグラート行きの登山電車乗り場まで行った。
 スキーパスは昨夜ガイドさんにお願いして購入して貰っていたので、パス入れに入れていて、これさえあればこれから5日間、バスも登山電車もリフトもゴンドラもすべてフリーパスとなる。5日間で296SF(スイスフラン)とカード代5SFで1人301SFは約2万円で、1日4000円程度なので日本とあまり変わらない。
 赤い登山電車はツェルマットの街からかなりの傾斜のレールの上を登っていく。レールの中央にギアが敷いてあって、それに歯車をかみ合わせて登るので、急な斜面 でも登っていける。マッターホルンとは反対方向にあるエリアなので、電車はマッターホルンから遠ざかっていくが、その姿はいつも見えている。


雪の中を登っていく登山電車


 


    

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