ポタラ宮を後にして、河口慧海ゆかりのセラ寺へ行った。ラサから3kmほどのところにあり、不気味な岩山の麓にあった。閑静な山の中だと思って歩いていくと、寺の中には入らないで、境内にある中庭に近づく。すると妙ににぎやかな声がしてきた。セラ寺の名物、問答合戦の修行中であった。チベット仏教の経典をどれだけ暗記しているかを、質問に答える問答形式で試す。僧たちが2人一組になり、立っている僧が大きな動作で手をたたき質問する。座っている僧がそれに答えるというものだ。中庭一杯になるほどの多くの僧たちが繰り返す問答には迫力があった。多くの観光客がその様子を見学していた。
ところで、まだ鎖国状態だった100年以上も前、日本人の河口慧海がこの寺でチベット仏教を学んだということで、ちょっと親しみも感じないではないが、それよりもお寺の裏山の不気味さが気になる。