世界一高いところを走る鉄道に乗って、チベットを目指しているわけだが、ここでこの青蔵鉄道の世界一を整理してみたい。

1 世界一高いところにレールを敷く鉄道・・・タングラ峠=海抜5072m

2 世界一高いところにある凍土トンネル・・・風火山トンネル=海抜4905m、全長1386m

3 世界一長い凍土トンネル・・・崑崙山トンネル=全長1686m、海抜4600m 

4 世界一高いところにある駅・・・タングラ駅=海抜5068m

5 世界一高いところにある鉄橋・・・三岔河大橋=海抜3800m、全長690m

以上という訳だが、よくもまあこんなところに鉄道が敷けたものだとあきれるばかりだ。
 一方で困ったこともあった。トイレのことだ。なんと言ったらいいか、口では表現できないくらい汚い。流れないで積もっていたり、小便浸しだったり・・・。何時間毎かに清掃はされるのだが、またすぐとんでもない汚れとなる。とにかく耐えるしかなかった。
 そのことは忘れるとして、車窓の風景には癒される。放牧されているツォナ湖畔のヤクの群れがなんともいえずのどかで、これぞチベットという感じだ。
        
                  
     ツォナ湖畔の放牧されたヤクの群れ(拡大)         ナクチュ(那曲)まで下りても標高は4600m

 ナクチュはチベットの北部の拠点で、その高原丘陵地帯で牧畜が盛んである。ヤクだけでなく羊、山羊、馬が飼育され、革製品、乳製品の産地でもある。このあたりでは人の姿がほとんど見えない。そう言えば人口密度が1000平方メートルに1人だという。

 そしてヤクの放牧を眺めているうちに、ふたたび雪山に巡り会うことができた。ネンチンタングラ山脈である。近くに見えるだけその雄姿には迫力があった。

 

         

ナクチュの駅の近くのヤクの群れ(拡大)   ネンチンタングラ山脈の雪山       ネンチンタングラの尖った主峰(拡大)

 ネンチンタングラ山脈に感動して写真を撮った後、にわかにみんな眠くなってとうとう全員眠り込んでしまった。従ってラサに着く直前の風景は何も知らない。ただ、ラサに近づいて下りる準備をしていて、菓子の袋が今にも張り裂けそうにぱんぱんにふくらんでいるのを見て、初めてこの車両は外気と変わらないことを知った。航空機並みの空調というのは最初のカナダ製の車両のことであって、どうやら中国製の車両はそこまでいっていないようだ。今まで知らないでよかったというのが実感だった。

 ともあれ念願のラサ駅に到着したということで、夜十時を過ぎた暗いホームを歩きながら心を躍らせていた。なぜか駅のホームは真っ暗だった。

   

         

 持ってきた菓子の袋がはち切れそう   ついにラサ駅のホームに降り立った      ラサという駅の標識が目にしみる

 

 ラサでの宿泊は拉薩飯店というホテルで、駅から数分で着いた。バスから下りる前に早速酸素ボンベが配られ、使用方法の説明がある。そういえばラサの標高も3600mを超えているのだ。酸素ボンベを抱えて部屋に入り、ほと一息ついた。列車では長時間窮屈な思いをしたので、ホテルの部屋は広々と感じた。今日はゆっくり休もう。

 


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