一瞬窓の下に流れが見えた。塩湖以外にしばらく水を見ていなかったので、「あっ!川だ。」と誰かが叫んだ。すぐに車窓からは見えなくなったが、その青い水が深く大地を抉って蛇行していたのには感動した。
青蔵鉄道は西寧からラサまで全長1956km走る。そして4000m以上の高地を940kmも走る。その間、いにしえからの交易の道であった、今こそ完全舗装されている青蔵公路(国道109号線)とほぼ並行して走る。車窓からトラックや乗用車が走っているのが見える。
しばらくおしゃべりをしていたところ、前方の岩山の向こうに雪山が見えてきて、みんなで歓声をあげる。崑崙山脈だ。美しい峰は玉珠峰という山だ。だんだん近づきながら形を整えてくる。裾野は広い草原で秀峰には雪を頂くこの美しさは、私たちにとっての最高の贈り物だ。この列車に乗ることができてよかったと思える瞬間だ。列車はやがてこの山脈をトンネルで越えていくのだ。