天安門広場に面した人民大会堂(拡大)

 天安門広場の観光が終わると、雨の北京の新旧ごちゃ混ぜの市街を抜ける。めざましいばかりに建て替えられつつあるビルディングに、やがて中国が、日本に追いつく日は近いと思わずにはいられない。



道ばたに残っている昔の商店街は汚い(拡大)


 北京空港では1時間半も待たされる。この間に康二に電話をしようと思って長距離電話を探し、順番待ちをしていると、自分より遅く来た中国の人が先にかけようとしたので、自分の番だと意志表示したが、睨みつけられて、何やらどなられて、電話機を奪われてしまった。担当の女性の職員がこの様子を見ていたのに、ちょっと気にしただけで、そのままになった。仕方なく待つしかなかった。やっと私がかけていると、今度は次の人が電話機に手をかけて待っている。なにをするにもかなり余分のエネルギーがいる。



北京にも近代的なビルが増えている(拡大)

 



北京空港への50kmもの直線道路には驚く(拡大)


 そうこうしているうちに、やっと敦煌行きの飛行機が飛び立つ。雨の中の離陸だったが、緑の農業地帯の上空を過ぎ、やがて砂漠へと入る頃には晴れてきた。



黄河の濁った蛇行が見えた(拡大)


 1時間余り、黄土高原を横断するあいだ、砂漠や岩山の眺めを楽しんだ。黄河の上流の濁った蛇行にも感激した。やがて一面砂漠となり、しばらく飛んだ後、緑の整然とした畑が見えだし、オアシスの町蘭州に着く。ここで燃料補給をし、再び敦煌を目指して飛び立つ。


蘭州の整然と耕されている畑(拡大)

 蘭州からは意識して窓側の座席に座ったので、延々と続く砂漠の、少しずつ変化しながら果てしなく広がる光景が堪能できて、驚嘆の声をあげ続けていた。砂・風紋・岩山・古い時代の崩れかかった万里の長城の遺跡など珍しい眺めに飽きることを知らなかった。
 北京から蘭州まで2時間。蘭州から敦煌まで1時間40分。ずっと砂漠の連続だった。


砂漠といっても高さ100mほどの砂山だらけ(拡大)

 砂漠といっても高さが100mほどの砂山だらけというスケールの大きさで、飛行機から見下ろしていると、凹凸が逆に見える感じで奇妙な眺めだった。この眺めが一面に広がる。遙かモンゴルからロシアの方まで続いているではないかと思うくらい遙か彼方に広がる大砂漠だった。
 やがて遠くに緑の海が見えてきた。敦煌だ。祁連山脈の雪解け水をダムに貯め、その水で栄えたオアシスの町敦煌。綺麗に整備された畑と、砂棗の木の緑が美しい。飛行機はその緑の海のそばの砂漠の中の空港に着陸した。何もない空港だったが、なぜか感激した。一面の砂の広がりを折からの夕日が暮色に染めていた。異国に来たという感じが強く湧いた。




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