11月28日(木) 晴れ


 今日も朝が早くてきつかったが、楽しみの漓江下りの日なので張り切って出発した。
 ホテルのすぐ前の川端で魚市が開かれていて、いかにも中国らしい風情の中をバスで抜ける。


朝の魚市 車に積んだまま鯉や草魚を売っている

 遠くに石灰岩の、まるでお椀やグラスを逆さにしたようなとんがり山が並んで見えてきて、心を躍らせた。


桂林の朝の通勤風景 まさに自転車天国だ

 しかし、まずは蘆笛岩という世界一大きな鍾乳洞へ入る。井倉洞や秋芳洞を見ているので、奇岩や鍾乳石は珍しくはないが、その規模の大きさには舌を巻いた。カラフルにライトアップされていて、見学者が来れば係員がスイッチを入れ、通 り過ぎる頃には自動的に消灯するという仕組みになっていて、感心した。


鍾乳洞の中はみごとにライトアップされていた


 また、現地のガイドの日本語のうまさには感心する。ガイドのために覚えたのではあろうが、その洒落が実におもしろい。ライオンの形をした鍾乳石を紹介しながら、「ライオンの子供たちもいます。あっちこっちで遊んでいます。なかなか数えられませんね。いくついるでしょう。シシ16ですよ。」とか、「桂林では豚をよく食べます。豚の鳴き声以外はみんな食べます。」など。
 次は桂林市漢方病院に寄った。電気治療の希望者は3名まで無料で治療するというので、辰子も左肩の痛みの治療を受けた。
 体に200vの電圧をかけてから、2人の気功師が患部を治療するというもので、右手がひとりでに動いたのにはみんなが驚いた。

 

左肩をもむと右手がひとりでに上がる

 「漢方薬は人間のすべての病気を治します。頭の中だけは直せません。」と流暢な日本語で説明され、結局多くの人が数万円単位 で漢方薬を買わされた感じだった。

 それからやっと、本命の漓江下りへと向かう。バスは、さまざまな形をした石灰岩の山を左右に見ながら、山を登り、峠を越えてかなり走って、漓江の中流の漓江下りの船着き場に着いた。
 そこでまず驚いたのは、その土地の人の物売りだった。「千円、千円。」と言って迫ってくる姿は強迫的でさえあった。しかも子供から女・男・老人に至るまで、粗末な土産物を手にかざして、バスの窓をゴツンゴツンと叩いたりするのには肝を冷やした。


一斉にバスに迫ってくる物売りの人たち

 だれか一人が千円のものを一つ買うと、売った人はそれだけでしばらくの間の生活費になる。一行の中にも一人だけかなり買っている人がいて、こんな人のせいで、むしろ現地の人々を、まともな労働をしない生き方に走らせているような気がする。ふと、アマゾンの原住民がある調査隊のガイドをして、報酬にパンや缶 詰をもらい、後にそれが欲しさに泥棒に入り、調査隊に殺されるという事件があったことを思い出した。どうすべきかは分からないが、悲しい。



 

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