クトゥブ・ミナールの基底部分は結構太い


 よくないことばかり気が付くので気が引けるが、なんとインドの紙幣の汚いことといったら最高だ。前にもちょっと触れたけれど、さわるのが気持ち悪いくらいで、手垢がしみこんでいるというか、透明に近いほど脂を吸い込んでいてぼろぼろだ。考えてみると紙というものはたいてい一度使って汚れたら捨ててしまうものだが、お金はそういうわけにはいかないから、無限に人の手に触れながら人から人へと渡り続けて何年も何十年も使われることになる。中国やエジプトの紙幣も汚いけれど、インドのはそれを上回る感じだ。その点日本の紙幣はほんとうに綺麗だと言える。
 
 この後、ムガール帝国2代皇帝フマユーンの墓であるフマユーン廟へ行った。王妃が築造した赤砂岩と白大理石を組み合わせた、左右対称のドームのある廟は、タージ・マハールのモデルにもなった。


大理石と砂岩がマッチしたフマユーン廟

 タージ・マハールは真っ白で病的なまでの美しさをたたえているが、フマユーン廟も赤砂岩に真っ白の大理石のラインが際だって、その威容を誇っている。

 

サリーを着たインドの娘さんたち


 インドにはご存じの通りカースト制度というのがあって、僧侶、王族・士族、平民、奴隷の4階級と、その下にハリジャン(神の子)というアウトカーストがいたという。今では田舎は別 として、都市部ではカースト制度は崩れ、金持ち、中流、下層の3段階の意識で暮らしているという。ここでもお金が基本になっているのが、やはり悲しい。
 インド門も見た。第二次世界大戦終了を記念して建てられた門で、12,000人の戦没者の慰霊塔でもあるという。42mの高さがあり、パリの凱旋門を思わせる。振り返ると反対側に首相官邸と、国会議事堂があった。大きな国らしく、その前の道路は広々としていて、ワシントンのリンカーン記念塔の雰囲気を思い出した。



インド門のあたりは広大な敷地が割いてある



インド門の反対側に首相官邸や国会議事堂が見える

 観光を終えての帰りに、「左手に日本大使館が見えます。」と言われて、森の中を見ると、瓦屋根の建物が見えて、懐かしい気がすると同時に、なぜかうれしかった。


日本大使館の一部

 インディラ・ガンディー国際空港へ4時過ぎに着いた。あとはJALの直行便で無事関空へ着くことを祈るばかりだ。
            (完)




 

     次のページへ       前のページへ       トップページへ