次に見学したのはカタコムベだった。いわゆる地下墓地で、井戸のような入口から入り、階段を降りていくと、長々と続く洞穴があって、異臭と霊気が漂い、気味の悪いところだった。洞穴の両側の壁に死体を安置する棚があったが、今は何も置かれていなかった。引き返す時にいろいろ見てやろうと思って、脇道に入ったところ、別
の洞穴に、あふれんばかりの白骨が収められていた。見てはいけないものを見てしまったような気がして、急いで外に出た。本当に気持ちの悪い場所だった。
街の中をパトカーが先導してくれる
それに比べると、次に行ったポンペイの柱という遺跡は、あっけらかんとしていた。高い花崗岩の柱が1本と、スフィンクス3体が立っているだけの丘の遺跡で、スフィンクスはクレオパトラがメンフィスから運んできたものだということだった。
また柱は、実際には400本も立っていたのだというから、ローマの威力の名残の1本といえる。
1本だけ残るポンペイの柱
丘の奥の方に、地下洞窟があって、グレコローマン時代の小図書館があった。ただ洞窟の壁に棚が掘ってあるだけで、そこにパピルスの本3000冊が、分類されて保管されていたのだという。壁臭いというか、古代のにおいがした。
街角に果物が並ぶ
昼食には、地中海の冬の荒波がうち寄せる海岸の、シーフードレストランで、ボラの丸焼きが出て、素朴な味が美味しかった。
レストランから地中海を望む
アレキサンドリアの街を走っていて、1つ気が付いたことがあった。それは街に電柱がないということだ。ヨーロッパや日本でも、市街地ではケーブルを地下に埋めて、電柱のない街を作っている。ところがここでは違っていた。よく見ると、被覆線3本を縒り合わせた電線をビルからビルへ、壁づたいに引いてあるという簡易なやり方なのだ。日本ではとても考えられない方法だ。
アレクサンドリアを発って、カイロへの帰路に就く。その途中で、カイロの街のピラミッド通
りにあるガイドのナナさんの家に立ち寄った。かわいらしい妹さんたち家族7人(父母・弟・妹)みんなで迎えてくれて、菓子とお茶でもてなしてもらい、楽しいひとときを過ごした。
電線はビルからビルへ壁づたいに引いてある
ガイドのナナさんの弟妹とお母さん
カイロの街の、「やまと」という日本食堂で夕食をとり、ホテルへ着いた。今夜と明日泊まるのは、メリディアンカイロというホテルで、ナイル川沿いにあり、川面
を行く遊覧船のイルミネーションが美しく見えるすばらしいホテルだ。