次は王家の谷のある山をバスで一回りして、ハトシェプスト女王葬祭殿に行った。正面
にバスで乗り付け、少し歩いて神殿まで行く。外観は山を背にした形がきれいで、元々は3階の上にさらにピラミッドがあったそうだから、見事な景観だっただろう。しかし、中には何もない寂しいものだった。
ハトシェプスト女王葬祭殿は端麗な姿でたたずむ
(この葬祭殿でこの後まもなく、テロによって多くの日本人観光客が殺害されるという事件が起きたことは、心が痛む悲しいできごとだった。)
最後は王妃の谷へ行った。1つ目は、アモンヘルコプシェフ王子の墓だった。赤ちゃんのまま亡くなって、5000年もの間、小さなミイラ姿を保ち続けていて、痛ましかった。
ここの入口で、現地の人に段ボールの一切れを渡されたので、何気なく受け取り、みんなうちわの代わりだと分かって、扇ぎながら見学して出かけると、実はそれでチップ(バクシーシ)を要求された。一本取られた感じで、これがエジプト式なんだと舌を巻いた。
他にティティ王妃の墓も見学した。そして帰りに、日干し煉瓦の家の並ぶ、クルナ村のアラバスターという大理石のような石の彫り物の店に寄った。白、茶、緑の原石があり、それを花瓶に彫る実演も見せてもらった。
日干し煉瓦の家が並ぶクルナ村
アラバスタ彫刻の実演を見る
そこで辰子が一輪挿しのいいのを見つけ、値段を掛け合って、60$というのを20$に負けさせて買った。半透明の緑の石に白い模様を彫り込んだ綺麗な逸品だ。
アラバスターの店でネックレスのモデルになる辰子
アラバスター製の一輪挿し
帰りの船着き場で見た無数のクルージングの船やルクソールの街の夜景が実に綺麗で、暮れゆくエジプトの旅情に浸った。
【第4日目のトピックス】
―レリーフの破片―
王家の谷の壮大さに圧倒されながら、歩いて帰っていたとき、辰子が道のそばの瓦礫の中から、太陽とオシリスの帽子を両面
に彫刻してある、パレットのかけらを見つけて拾った。よく見れば見るほど、見事な形なので、ギザやメンフィスやアブシンベルでは、砂や石しか手に入らなかったのに、こんなすばらしい記念品はないとしまい込んだ。
ただ、ツタンカーメンの墓を堀人出した人たちの多くが、その後不審の死を遂げたというのを聞いていたので、そのツタンカーメンの墓の前で拾ったかけらを持ち帰るのは少々気がかりではあったが・・・。
夕日に染まるメムノンの巨像と王家の谷のある山