時間をかけて8ミリビデオを撮っているうちに、辰子と康二に置いて行かれてしまった。二人は普通に歩いていく。私はビデオを撮っては、小走りで追いつく。その繰り返しだったが、とうとう走って追いつくのが億劫になり、普通に歩いて後を追っていたら、見失ってしまった。
 仕方がないので、一人で水道橋をくぐり抜けて、反対側から撮りに行った。


水道橋はゼゴビアのシンボルだ


 そのあと、カテドラルまで歩いて、スペインで最も新しいというカテドラルを見た。カテドラルの貴婦人とよばれているだけあって、すっきりとしていて気品があった。なにか、エル・エスコリアル宮に似た雰囲気があった。
 
 迷ったら、分かれた場所で待っているという約束にしていたので、水道橋の下まで帰って待っていたら、二人が帰って来た。

 気品のあるゼゴビアのカテドラル


 昼食は、ゼゴビアの名物だということで、子豚の丸焼きをいただいてみることにした。少し気持ち悪かったが、食べてみると軟らかくて美味しかった。イスラムの世界では豚は食べない。しかし、子豚は豚になっていないので、食べてもいいのだという。ちょっと変だ。

 
子豚の丸焼きは美味しかった


 私が迷っている間に、二人は、「白雪姫」のお城のモデルになったという、ゼゴビアのアルカサルを見てきたということで、今まで見たものの中で最高だったというので、悔しくて、レストランに二人を残して、走って見に出かけた。15分で帰ると約束したのに、アルカサルを目の前にしてみると、灼熱の太陽に照らされたお城が、あまりに美しくて、とうとうぐるりと回って、下の道路の方まで走り降りてしまったため、かなり時間がかかった。けれども最高の構図でアルカサルを撮りたくて必死だった。


まばゆく輝くアルカサル




下から見上げたアルカサル


 十分ビデオも撮れたので、帰り始めたのはいいが、必死で下って来ていたので、帰りは登り坂で、まるでトライアスロンのマラソンのように、暑くて苦しかった。
 レストランまで帰ってみると、二人の姿がない。また離ればなれになったとがっくりきて、どこへ行ったのか見当もつかず、一人でとぼとぼと駅まで歩いた。駅でしばらく待っていると、二人が怒って帰ってきて、待っていたのに・・・。ということだった。レストランでよく探さなかったのが原因のようで、迷惑をかけた。
 気を取り直して、次の予定の、フェリーペ5世の離宮のある、ラ・グランハへタクシーで出かけた。ベルサイユ宮殿で生まれたフェリーペ5世は自分の故郷を懐かしんで、ベルサイユ宮殿に似せた離宮を建てた。しかし、規模は小さく、辺りの自然と調和している。内部のタペストリーの展示が特に目を引いた。見学の後、マドリッドへ帰った。


ラ・グランハの王宮

 


 

 

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