朝、船はハワイ島ヒロに着いていた。島は雲に覆われ、雨に煙っていた。昨夜あれこれと検討したヒロでの観光ツアーはうまくいかなかった。というのも、前回ハワイ島に来たときに、日本語ガイド付きの観光用マイクロバスに乗って、島巡りをしていたので、同じコースのオプションをさけて、別行動をしようと考えたからだ。ところが登ってみたかったマウナケアへのツアーは予約が一杯で取れず、上空からのヘリコプターでの観光は天候不順で取りやめになった。仕方なくレンタカーで行けるところまで行ってみようとタクシーでレンタカー会社まで行ったのはいいが、免許証を部屋の金庫に入れたまま忘れてきていて、断念した。
でも、あることで気持ちはやわらいだ。行きのタクシーが無料だったのもありがたかったが、雨の中をうろうろして、とうとうレンタカーも借りられずに帰ろうとしていたとき、来たときのタクシーがじっと待っていてくれて、迎えに来てくれたのだ。タクシーを呼ぶのも簡単ではない中で、この日系人らしいタクシーの運転手の親切に救われた半日だった。もちろん無料だった。