ゴールデンルート・ヨーロッパ
   6カ国11都市都市めぐり<12日間>
1989.8.22〜 9.2



8月22日(火)晴れ


 「もしもし、起きて車を移動してください。」コツコツと車のドアを叩かれて、目を覚ますと、パトカーが止まっていて、警察官が注意をしていた。あわてて起きあがり、時計を見ると午前 5:00。昨夜大阪空港の駐車場が閉まっていて、その入口の前で眠ってから、3時間余りしか眠っていないのに、もう起こされてしまった。5:00には駐車場の入口が開くので、移動して駐車し、朝のさわやかな空気を味わいながら散歩した。


 空港での集合時間は 8:40だったので、まだたっぷり時間がある。洗面をしたりして、準備を整えた。
 辰子は化粧をしながら、何か悔しがっている。実は玄関まで出しておいた履き替え用の運動靴を、そこへ置いたまま忘れてきたというのだ。私もその靴は見たのだが、まさか忘れているなどとは思いもよらず、そのまま放ってきてしまった。


 集合場所になっている空港の1階のロビーには、さまざまな旅行会社のツアーの看板が出ていて、大勢の人でごった返していたが、私たちのツアーである SNT のゴールデンルート・ヨーロッパの看板はまだ掛けられていなかったので、待っているあいだに、辰子は予備の靴を買いにいった。何とか歩きやすそうな靴が見つかって、やれやれといったところで、受付が始まった。どうやら大阪からは私たち2人だけしか参加しないらしい。


 9:40大阪発成田行の飛行機に乗る。途中九十九里浜あたりの海岸線がとてもきれいで、8ミリビデオに撮りたかったが、カメラをバッグにしまい込んでいて、残念だった。雲一つない好天の中を、ジェット旅客機は快調に飛んで、あっというまに成田空港に着いた。


 新東京国際空港(成田空港)は初めてで、勝手がわからないままに、人波について歩いて、4階の北ウイングの集合場所に行くと、もう他の人たちは手続きを済ませたということで、また2人だけで出国の手続きをする。
 おなじ JAL でも、国際線の旅客機は大きくて、デザインも違っていた。国際線は初めてなので心が躍る。これから12時間近くも、ロンドンをめざして空を飛ぶなんて、ついこの前までは考えもしなかったことだ。
 機内ではワインやビールのサービスがあった。私にとってはこの点だけでも天国だのに、妻の辰子が機嫌よくそばにいるので、なお一層幸せだった。


 昼食は話し合って、私が洋食、辰子が和食にし、両方を分け合って食べた。ビール、ワイン、ウイスキーとお代わりをしながらのおいしい昼食だった。
 機長のアナウンスで、ソ連の上空を飛んでいることを知って、窓から下界を眺めると、日本の上空とはたいそう違った眺めだった。かなり高度があるはずなのに、沼のような川のような水面が、幾筋も続いているのが見えた。ちょうど利根川が何本も流れているような、そんな感じだった。


 雑誌を読んだり、機内のテレビで映画を見たりして過ごす。映画「シェーン」を上映したので、もう何度も見ていたけれど、本気で感動しながら見てしまった。
「あと6時間よ。」と辰子がうれしそうに言う。本当にこんなに長い時間飛行機に乗っていられるなんて、うれしいことだ。退屈なんてしたらバチがあたるだろう。窓は一応遮光してあるけれど、眠っている人はほとんどいない。時々窓をあけて下を見ると、夜8時過ぎだのに、昼間と同じような明るさで、はるか下の方に地球の表面 が見える。広々とした平坦な土地だ。モスクワの近くらしい。


 

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