12月25日(水)
 昼間暑くなると思ってシャツだけの薄着で出たら、バスでカイロ空港に行くまでと、空港で搭乗を待つ間、とても寒かった。
 6:00過ぎ、チャーター便のプロペラ機で、カイロからアスワンへ向けて飛び立つ。プロペラ機の騒音の中、折から日の出に巡り会い、朝日を浴びながらナイル川沿いを一路南下する。


小型機なので操縦室を見せてもらえた


サハラ砂漠の起伏が朝日に映える

 ナイル川のグリーンベルトが印象的だった。くっきりと色分けされている砂漠と耕地。平均的には幅1〜2km、川幅は200〜300mくらいだろうか。ナイル川とその河畔に点在する町と水路がよく見えた。緑に見える耕地の部分も相当な面 積だ。そして延々と続く。


ナイルベルト ナイル川が朝日を反射している

 アスワンに一度着陸し、スーツケース等の荷物を降ろして再びアブシンベルへ向かって離陸。ずいぶん飛行機にも乗ったので、馴れてきて昔のような不安感はなくなった。
 眼下にやがてナセル湖が広がってくる。まるで瀬戸内海のように大きなダム湖だ。砂漠を浸して広がり、あたりには全く緑がない。飛行機がもう少しでアブシンベル空港に降りようとしていたとき、左手にアブシンベル神殿が小さく見えて、興奮した。まるで飛行機を出迎えるかのように岸壁にそそり立っていた。これからその場に行くのだと思うと、心が躍った。
 


ナセル湖に面してアブシンベル神殿がそそり立つ

 空港からバスに乗り換えて、砂漠の中を走って、アブシンベル神殿に着く。裏から回って正面 へ出ると、雄々しく立ちはだかる4体の巨大石像。写真では見ていたが、やはり実物を目前にして興奮する。
 端正な目鼻立ちのラムゼス2世像が顔の幅だけでも4mもある巨大さで見下ろしてくる。その偉容さに圧倒されっぱなしで、ビデオカメラを回し続けた。
 ところが、それ以上に驚かされたのは、その内部の立像や壁画やヒエログリフの美しさと、細やかさと、多さだった。
 この神殿は、3月の春分の日と、9月の秋分の日の2回、最も奥にある至聖所まで太陽の光が差し込み、まずアモン・ラー神を照らし、ラムゼス2世像を照らすという神秘的なトリックまで用意されていて、恐れ入るばかりだ。



アブシンベル大神殿の正面


内部の大列柱室にはオシリス神姿のラムゼス2世像が並ぶ

 
 


 

 

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