観光1日目

 昔、ソ連と言われていた頃、この国は、とても遠い存在だった。その国が今ロシアとなって、観光旅行が可能になった。ありがたいことだ。十数年前、初めてヨーロッパへ行ったとき、この国の上空を飛行機で通過中に、アナウンスで「ただいまサンクトペテルブルクの上空を飛んでいます。」というので窓から下界を見ると、フィンランド湾を縁取るように煉瓦色のビルが犇めき、まるでおとぎの国の絵でも見るように美しかった。ここにも必ず一度来てみたいと、そのとき強く思った。中学時代にドストエフスキーの「罪と罰」を読んだとき、見知らぬ異国へのときめくようなあこがれと、暗いペテルブルクという街の印象が心に残っていたこともあった。その夢が今実現されようとしている。

 岡山空港から大韓航空機で飛び立ち、ソウルの仁川空港で乗り換えて、夕方、モスクワ空港に着いた。とりあえず初日の宿のホテルコスモスで、明日からの観光を楽しみに眠った。

 観光第1日目はモスクワからかなり離れた田舎町のセルギエフ・ポサードという町の観光から始まった。町と言ってもセルギーという聖人が教会を建てた事で始まったので、教会中心の小さな町だ。それからモスクワへ帰り、市内観光をした。残念ながら赤の広場はテロを警戒して閉鎖されていて入れなかったが、周囲を歩きながら見ることはできた。核シェルターを兼ねて作られたという地下鉄は圧巻だった。まるで宮殿の中のようにシャンデリアや、ステンドグラスで装飾されていて目を見張った。ロシア正教の教会や修道院をふんだんにみて、夜はモスクワ川のクルージングでひと味違った風景を楽しんで、夜、サンクトペテルブルク行きの寝台列車に乗った。

 

 

 

セルギエフ・ポサードの教会と修道院