世界旅日記 18
写真集
 

韓国 
(珍島・ソウル)







小 松  徹



       珍島への旅はまさに珍道中だった

 韓国ソウルへ生まれて間もない孫の航大に会うために出かけた。
 妻の辰子がその足で、どうしても「珍島(チンド)」へ行ってみたいというので、生まれて50日余りの航大を連れて、長男夫婦を案内役にソウルから珍島へ向かった。
 韓国国内線の飛行機で韓国南端の木浦(モッポ)空港まで飛び、海辺のホテルに一泊して、次の朝バスからタクシーに乗り換えて、気が遠くなるほどの道のりを珍島めざして走り続けた。
 そして、モーゼの「十戒」の海が割れるシーンのように、島に向かって道が出来るという海辺にたどり着いた。そこには既にびっくりするほどの賑わいがあって、さすがに海が割れるだけのことはあると勇み立ったのだが、人混みに混じって使い捨てのゴム長靴を履いているうちに、何か妙に失望感が広がってきた。人々が列を作って海に続いているが、結局は干潮によって浅くはなったものの、陸続きにはならなかった。遠慮なく言えば、ただの干潮で、日本で言えばさしずめ潮干狩りと言ったところ。島への道のりの半分当たりで潮が満ちてきて、期待していた海割れのイメージとのあまりのギャップに笑いながら引き返した。もちろん条件の良い日には島まで陸続きになるのかもしれなが・・・。
 そして帰りがまた大変だった。木浦からソウル行きの飛行機が欠航となり、急遽長距離バスでソウルへ帰る羽目になり、半日バスに揺られた。
 ソウルに帰ってタクシーで市内を走り、韓国料理に舌鼓を打って、日程を終えた。今回だけは珍道中という気がしてならなかった。



表紙の写真 : 珍島の海割れの浅瀬を行く人々